仏壇は素材によってどう違う? 代表的な素材と高級感のある材質の仏壇をご紹介
仏壇の主な素材は木材ですが、どのような木材が使われているかによって、仏壇のデザインや金額、手入れの仕方、経年による変化などが異なります。素材ごとにどのような特色があるのかを知っておくと、ご家庭に合った仏壇選びの参考なるかもしれません。
本記事では、仏壇の代表的な素材やそれぞれの特徴、高級感ある仏壇選びのヒントなどについてご紹介します。
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ぶつだんのもり
仏事コーディネーター
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仏教と仏壇・仏具、また、それらを取り巻く「仏事」に関する豊富な知識を持った資格者を「仏事コーディネーター」といいます。亡くなった方のご供養や、様々な仏事についての「よくわからない」ことについて、お話を通じてお客様に寄り添い、様々なご供養の方法をご提案しております。
仏壇の種類
仏壇は基本的に、木材から作られています。木材を素材とする仏壇を大別すると「金仏壇」と「唐木仏壇」の2種類に分けることができます。
金仏壇
金仏壇は、白木に黒漆塗装(くろうるしとそう)を施し、さらに金箔や金粉、金具や彫刻などで装飾された仏壇です。金と黒が醸す荘厳な印象は、浄土の世界をあらわしているといわれています。用いられている木材は主に、檜(ひのき)、松、杉、欅(けやき)などです。
唐木仏壇
唐木仏壇は、木目の美しさを生かした仏壇です。金仏壇に比べると見た目はシンプルですが、日本ならではの「侘び寂び(わびさび)」の美を感じることができるでしょう。用いられている木材は主に、耐久性の高い黒檀(こくたん)、紫檀(したん)などです。
新仏壇、モダン仏壇
金仏壇や唐木仏壇のような伝統的な材質を用いた仏壇は、重厚感や耐久性があり、それに見合った高価格が設定されているのが一般的です。そこで最近では、合板やアルミニウム、プラスチックなどの素材を用いた「新仏壇」と呼ばれる仏壇もあります。
また、現代の住まいと調和性が高い仏壇として、家具などに多く用いられるウォールナットを素材にした「モダン仏壇」の人気も高まっています。
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仏壇に使われる代表的な素材
仏壇に使用されている木材のうち、高級仏壇に使われる代表的なものをいくつかご紹介します。それぞれの見た目の違いや特性を知り、仏壇選びの参考にしてください。
欅(けやき)
日本で伐採されている木材の中では“最高級”に位置づけられています。欅は、硬くて湿気に強いため耐久性に優れています。また、木目が美しく力強いことも特長です。古来より神社や寺院の建造、楽器や漆器の木地などに用いられてきた、優れた木材です。
黒檀(こくたん)
黒檀は、非常に重く堅い木材で“木のダイヤモンド”とも呼ばれます。湿気が少ないため虫などに侵食される恐れがなく、高級仏壇の素材にも適しています。正倉院に収められていた宝物に黒檀が用いられていたことからも、古(いにしえ)から重宝されていた木材であることが伺えます。
紫檀(したん)
紫檀は、黒檀と並び高級仏壇に用いられることの多い木材で、「ローズウッド」とも呼ばれます。非常に硬くて丈夫なことに加え、緻密な木目や暗紫紅色の美しい色味を持ち合わせており、古くから高級家具の材料としても珍重されてきました。
ウォールナット
ウォールナットは和名では「クルミ」と呼ばれ、世界三大銘木に数えられるほど良質な素材です。薄褐色〜暗茶褐色の美しい木目が特長で、古くから家具やライフルの銃床などの材料に用いられてきました。昨今は、インテリアに馴染む家具調のモダン仏壇にも利用されています。
鉄刀木(たがやさん)
鉄刀木は、黒檀や紫檀と並び、唐木三大銘木のひとつに挙げられる素材です。鉄のように非常に重たくて硬い材質で、腐食しにくいため家の床柱などに用いられることがあります。美しい縞模様も特長で、仏壇の素材としても珍重されています。
屋久杉
鹿児島県屋久島に自生している杉のうち、樹齢100年以上のものが「屋久杉」と呼ばれます。優れた防腐性、緻密な木目など見た目の美しさはもちろん、希少性も非常に高いため、最高級仏壇の素材の代表格となっています。屋久杉仏壇は、無垢材の魅力を最大限に生かしたシンプルなデザインが多いのも特徴です。
桑
桑は、日本各地で自生していますが、銘木として使える素材は極めて希少です。重硬なので加工しづらい面もありますが、耐久性においては非常に優れた素材です。特に、伊豆諸島や三宅島の「島桑(しまぐわ)」は、緻密な年輪と美しい木目のあることで知られています。茶道具の材料としても最高級とされています。
仏壇の素材と選ぶ際のポイント
仏壇は、材質の種類によって価格が変わります。さらには、同じ木材でも品質(ランク)や工法、そして仏壇全体のサイズやデザインによっても価格に違いが出てきます。
唐木仏壇
たとえば、木地となる木材の表情がよく見える唐木仏壇では、木目の美しさがより生かされている仏壇ほど高級だとされています。また、唐木仏壇に用いられる木材の多くは、現在では希少性が高いということもあり、総無垢の仏壇は極めて高価となっています。
金仏壇
金仏壇の木地には檜や松、杉など比較的安価な木材が使われているのが一般的です。金仏壇の場合は木材の価格で大きな差はありませんが、装飾に用いられる漆や金箔の品質・技術の違いが、価格を左右する一因となります。
モダン仏壇
昨今の住まいに合うようデザインされたモダン仏壇では、ウォールナットを用いた仏壇など、家具感覚で購入できるものも増えています。現代の暮らしに寄り添うデザインでありながら、仏壇としての品質をしっかり保っている商品であれば、モダン仏壇でも長く使えるものもあります。また、ガラスやプラスチックなど、木材以外の素材を取り入れたデザイン性の高い仏壇に着目してみるのも良いでしょう。
高級仏壇のポイント
それでは、いわゆる「高級仏壇」とはどのような仏壇を指すのでしょう。その特徴をご紹介します。
特徴1. 「伝統工芸品」に認定されている
「金仏壇」には、経済産業大臣から「伝統工芸品」として認定されているものがあります。具体的には、山形仏壇、金沢仏壇、三河仏壇、京仏壇、大阪仏壇、広島仏壇、川辺仏壇など、江戸時代から金仏壇を作り続けている15の産地の仏壇のことをいいます。
四十余職種にも分けられた専門的な手仕事を経て、高い品質の仏壇は作られます。「伝統工芸品」と認められた仏壇は、その歴史と手仕事のたしかさが証明されたものなのです。
特徴2. 希少価値が高い素材を使用している
「唐木仏壇」に用いられる黒檀や紫檀、いわゆる銘木(樹齢が長く、色や形状が優れていて、独特な趣を持っている木材)である欅や桑、屋久杉など、希少性が高い素材を使った仏壇は価格もそれだけ高く、高級仏壇に分類されます。
特徴3. 熟練した職人が手作業で製作している
仏壇の価値を決める要素のひとつには、職人の手間がどれだけかかっているかも挙げられます。仏壇の製造工程は、木地、彫刻、錺(かざり)金具、塗り、蒔絵など細かく分業化されています。それぞれの工程において、技を磨いてきた専門の職人が手がけます。良質な材料と、それを生かす職人の技があってはじめて、良い仏壇は出来上がるのです。 高級仏壇の中には、製作に携わった工芸店や職人の名前が記されているものもあります。信頼の証のひとつとして確認してみるのも良いでしょう。
特徴4. 高級仏壇の産地で生産されている
「伝統工芸品」と認定された仏壇産地以外にも、仏壇作りにおいて長い歴史を誇る産地は全国にあります。たとえば、約130年の歴史がある小樽仏壇、漆器作りの技術が生かされている秋田仏壇、金虫喰研ぎや錆盛蒔絵(さびもりまきえ)など独自の技術が光る福井仏壇、国産の銘木を使う東京唐木仏壇、唐木仏壇の生産量日本一を誇る徳島仏壇など。高級仏壇には、産地ごとに受け継がれてきた特有性があります。
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特徴5. 精巧さが光る細工が施されている
細部にまで職人の技が光る仏壇は、それだけ手間暇がかかって作り上げられたものになります。“高級”と名乗るにふさわしい仏壇だといえるでしょう。また、一流の職人の手による仏壇は、後世にまで受け継がれる伝統工芸品でもあります。蒔絵や彩色、彫刻、金具などの細部が、購入当初は美しいのはもちろんですが、年を経て受け継がれていくことで重厚感がさらに増していくことでしょう。
仏壇に用いられている材質は多様で、それぞれに特徴があります。デザインや素材の個性を把握しておくこと、そして、住まいの環境や家庭の状況に照らし合わせることが、仏壇選びのポイントになります。また、高級仏壇は、高価格であるだけの理由と魅力があることも理解しておきましょう。価格に関わらず、心から納得ができ、手を合わせる気持ちに寄り添ってくれる仏壇をお求めください。