仏壇の値段が違う理由は? 価格に響く要素と安い仏壇・高い仏壇の購入メリット

多くの方にとって、仏壇の購入は一生に一度あるかないかのこと。仏壇に関する前知識がないため、多種多様な中から納得できるものを選ぶのは簡単ではありません。
特に「値段」は、仏壇選びで大きなポイントになります。数万円のものから100万円以上するものまであり、同じように見えても値段が大きく異なるため、驚くこともあるでしょう。

本記事では仏壇の値段に影響する要素と、安い仏壇・高い仏壇それぞれのメリットなどについてご紹介します。

ぶつだんのもり

仏事コーディネーター

仏教と仏壇・仏具、また、それらを取り巻く「仏事」に関する豊富な知識を持った資格者を「仏事コーディネーター」といいます。亡くなった方のご供養や、様々な仏事についての「よくわからない」ことについて、お話を通じてお客様に寄り添い、様々なご供養の方法をご提案しております。

仏壇の値段が違う理由

仏壇の値段の違いを生む要素には、主に「仏壇の種類」「主材の製造方法」「素材」「装飾」「産地」の5つがあります。それぞれご説明します。

仏壇の種類による違い

仏壇には「唐木仏壇」「金仏壇」「モダン仏壇」の3種類があります。それぞれ次のような特徴があり、相場が異なります。

唐木仏壇

木材の色や木目を生かした伝統的な仏壇。黒檀(こくたん)や紫檀(したん)などの銘木で作られている。装飾は控えめで、彫刻の精巧さが光る。相場は50万円~。

金仏壇

表面は黒塗りで、内部に金箔や金粉が施された仏壇。蒔絵や彫刻、金具などで装飾されており、工程ごとに作業する職人が違うため値段も上がる。「塗り仏壇」とも呼ばれる。相場は70万円~。

モダンな仏壇

すっきりとしたデザインで、洋室にも合う現代風の仏壇。コンパクトなものも多い。「家具調仏壇」「都市型仏壇」とも呼ばれる。相場は20〜100万円と幅が広い。

また仏壇のタイプによって、大きさも異なります。一般的には同じ品質のものであれば大きくなるほど値段が上がります。

床置き型(重ね型)

床などに直接置くタイプ。高さ120〜180cm程度。

地袋型

仏間や床の間にある小さな戸棚である地袋の上に置くタイプ。高さ100〜120 cm程度。

上置き型

棚やタンスの上などに置くコンパクトなタイプ。高さは30〜90 cm程度。

主材の製造方法による違い

仏壇の主な材料は、木材です。特に木目の美しさを生かした仏壇においては、主材の製造方法の違いが、値段に大きく影響します。主材の加工・製造方法は、主に次の4つです。

総無垢(そうむく)

芯材を使わず、銘木をそのまま加工したもの。最高級。風格があり、木の動きを楽しむことができるが、重く、年月がたつと反りや割れを伴うことがある。

練りつけ

芯材に銘木を貼り付ける工法。木の割れや狂いを防ぐ効果があり、仏壇ではよく使われている。貼り付ける面の数によって「前練り」「二方練り」「三方練り」「四方練り」の4つの工法があり、四方練りが最も高額。また貼り付ける無垢材の厚みが増すほど、値段が上がる。

調プリント

芯材に木目や模様を直接プリントする、または木目をプリントしたシートを貼り付ける工法。値段は抑えられるが修理が難しく、経年劣化でシートが剥がれたり色あせたりすることがある。

調着色

芯材に直接木材風の着色をする工法。芯材の種類によっては耐久性が低くなる。

素材による違い

仏壇に使う木材の種類や品質によって、値段は変動します。黒塗りをしない唐木仏壇においては、素材は非常に重要です。

仏壇によく用いられる木材の中でも特に高級とされているのが、「唐木三大銘木」と呼ばれる「黒檀」「紫檀」「鉄刀木」です。

黒檀(こくたん)

黒地に褐色の木目が美しく、重厚感が漂う。木材の中でも高価で「木のダイヤモンド」といわれる。非常に硬く、耐久性に優れており、古くから神社仏閣にも使われている。

紫檀(したん)

褐色に濃い茶色の木目で気品があり、高級家具にも使われている。木質は硬く緻密で、耐久性に優れている。

鉄刀木(たがやさん)

木目は大きめの縞模様で、味わいがある。腐食に強く、耐久性が高い。黒檀や紫檀に比べて値段は抑えられる。最近は使われることが少なくなっています。

そのほかには以下のような木材がよく使われています。

・欅(けやき)・屋久杉(やくすぎ)・ウォールナット・楓(かえで)

また同じ種類の木材でも、木目の美しさや木の質の良さが価格に影響します。

「金仏壇」では杉や檜(ひのき)、松のほか、圧縮ボードが、「モダン仏壇」では、家具に用いられることの多いウォールナットや楢(なら)などがよく使用されています。

装飾による違い

装飾の精巧さ、塗りの美しさは、仏壇の値段に直結します。特に金仏壇においては「表面仕上げ」と「彫り物・蒔絵」が重要なポイントです。装飾に使う材料の質はもちろん、職人の手間がかかっているものほど価格も上がります。

表面仕上げ

金箔

金の純度が高い順に「五毛色」「1号色」「2号色」「3号色」「4号色」があり、五毛色が最も高価。また金箔の厚みが増すほど値段が上がる。金箔の色は赤みがかっているものの方が、質が良いとされている。金粉が使われることもあるが、金箔よりも高い。

漆塗

塗り重ねられた回数が多いほど耐久性がアップし、値段が上がる。漆塗りは高度な技術が必要とされるため、熟練の職人による色むらのない、鏡面のような美しさを持つものは価値が高い。漆自体も国産で質の良いものは高額。中でも呂色仕上げは漆塗り技法の最高峰と言われている。

彫り物・蒔絵

彫り物:細工が細かいものほど値段が高くなる。細かい彫刻を組み合わせる「付け彫り」、一枚の板から彫る「一枚彫り」がある。特に装飾が少ない唐木仏壇においては、仏壇の品格を生みだす大事な要素。 蒔絵:「磨き蒔絵」「高蒔絵」「平蒔絵」があり、職人技が光る。シルクスクリーン印刷や蒔絵シールの場合、値段は抑えられる。

産地による違い

日本には仏壇の伝統的産地があります。一口に仏壇といっても、産地ごとに工法やデザイン、つくりなどが大きく異なり、有名産地で製造された仏壇はやはり品質が良いので値段が高い傾向があります。

唐木仏壇の産地としては「会津(福島)」「東京」「静岡」「大阪」「徳島」が、金仏壇では「名古屋(愛知)」「彦根(滋賀)」「大阪」「広島」「川辺(鹿児島)」が有名です。

近年は中国やベトナムなど外国産の仏壇も増えています。国産に比べて外国産のものは比較的リーズナブルです。なお「国産」と表示されていても、輸入材料を使用していたり、工程の一部を海外で行っていたりすることがあります。

高価格な仏壇のメリット

値段が高い仏壇は、使用している木材の種類、品質、工法、装飾などが一流です。素材が良いうえに漆を複数回塗り重ねるなどして耐久性をアップさせているため、劣化がしにくいのが特徴です。

主材に木目シートを貼っているといった場合、原則として修理はできませんが、値段が高い仏壇の多くは修理可能な工法を採用しています。そのため専門業者などに「お洗濯」と呼ばれる修理を頼めば美しさが蘇り、子や孫などに引き継ぎ長く安置することも可能です。

また床置き型など高価格でサイズの大きな仏壇の場合、座ってお参りができるため、高齢者にとって体への負担は少ないでしょう。 質の良い材料を用いた、美しく高級感のある仏壇は、置いているだけで部屋の空気が引き締まります。こだわって購入した仏壇であれば愛着がわき、頻繁にお参りしようという気持ちになるかもしれません。

安価な仏壇のメリット

仏壇は高級品というイメージをもたれがちですが、近年は素材やサイズ、装飾などの種類が増え、数万円程度で買えるものも珍しくありません。

また、最近は手元供養といって、仏壇も本来の扉のある箱型の形状のものだけではなく、壁掛け型や、コンパクトなステージタイプなども増えてきています。そういったタイプのものは、比較的検討しやすいお値段です。「一人暮らしの家に置きたい」「子どもに引き継ぐつもりがない」「できるだけ安く購入したい」など、希望に合ったものが選べます。

仏壇の購入で気を付けたいポイント

仏壇は消耗品ではないため、一度購入したら買い換えることはなかなかありません。そのため購入の際は慎重になる必要があります。気をつけたいポイントをご紹介します。

仏事コーディネーターに相談する

仏壇を購入する際には、仏事コーディネーターに相談しましょう。カタログやWebサイトに掲載された写真ではわからないこともあります。実際に実物を見なくても安心して購入できるよう、様々な観点で、的確なアドバイスをもらうことができ、安心です。また、宗派も伝えておくと、適した選択肢を出してもらいやすいです。安い買い物ではないため、専門家に相談するようにしましょう。

品質表示を確認する

見た目だけで選ばず、仏壇の品質表示を確認することも大事です。木材の種類や工法は、仏壇の見た目のほか耐久性にも直結します。値段やサイズだけで選ぶなどして表示をきちんとチェックしておかなければ、購入から数年後に装飾が取れるなどして驚くかもしれません。 表示されていない内容でも仏事コーディネーターに相談すれば教えてもらえるでしょう。購入前に調べておくことをおすすめします。

予算を決めておく

仏壇は使用している木材の種類や工法、装飾、サイズなどによって価格に大きく変わります。当然、見た目や素材にこだわればこだわるほど、価格はアップします。

勢いで買ってしまわないよう、おおよその予算を決めてその範囲内で検討すれば、仏壇選びもスムーズに進み、納得できるものを選べるでしょう。

置く部屋・場所を決めておく

仏壇を購入する際には、事前に設置場所を決めておきましょう。昔からある家と違い、現代風の家は仏間がないことが多く、仏壇の置き場所に悩む方は少なくありません。事前に置く部屋、場所は家族でしっかりと話し合い、ほかの家具や壁の色との調和も考慮して仏壇の色やデザインを選びましょう。 その際は設置場所の奥行きや高さなどをきちんと計り、サイズの合うものを探してください。引き戸を開くスペースは確保されているか、目線より上の位置に設置できるかといった点も確認しておくことが大事です。

厳選された材料を使って職人が手間ひまかけて作り上げた仏壇は、値段は高くなりますが、それに見合う美しさや耐久性の高さがあります。一方で安い仏壇は購入しやすく、生活の中に取り入れやすいでしょう。

仏壇は、ライフスタイルに合ったものを選ぶことが大事です。事前に場所や条件をしっかりと考え、疑問点があれば仏事コーディネーターに相談するなどして、納得して購入できるようにしましょう。

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